ドジャースオーナー企業の正体!グッゲンハイムの資産と株の真実

ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手と山本由伸選手の写真、および「史上最強軍団、その資金力の謎」というタイトル文字。

こんにちは。

スタジアムデイズ、運営者の「KEN」です。

KEN(スタジアムデイズ編集長)
北米スポーツ観戦コンシェルジュ この記事を書いた人:KEN
  • 元在米駐在員(NY・LAに通算5年居住)
  • 北米4大スポーツ50ヶ所以上・100試合を現地観戦
  • 治安と公式情報を最優先した「安全な観戦」を提案

世界一のスター軍団となったロサンゼルス・ドジャースですが、その華やかな補強を支えるオーナー企業や資産の規模が気になっている方も多いのではないでしょうか。

大谷翔平選手や山本由伸選手への歴史的な巨額投資を目の当たりにすると、「一体どこからその資金が湧いてくるのか?」と疑問に思うのは当然のことです。

私たちが普段目にするニュースだけでは見えてこない、球団経営の裏側や土地にまつわる意外な事実について、今回は徹底的に深掘りしていきたいと思います。

投資家目線での企業分析から、現地で起きている開発問題まで、この記事一つでドジャースの経営実態が丸わかりになるよう解説します。

  • ドジャースを保有する「グッゲンハイム・ベースボール・マネジメント」の正体と資産規模
  • 筆頭オーナーであるマーク・ウォルターと共同オーナーたちの役割分担
  • 一般投資家がドジャースの株を買えない理由とよくある誤解
  • スタジアム周辺の土地開発を阻む前オーナーとの複雑な契約関係

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目次

ドジャースのオーナー企業グッゲンハイムの資産と株

ドジャースという巨大な組織を動かしているのは、一人の富豪ではなく、緻密に計算された投資家グループです。

ここでは、その中心となる運営会社の実体や、私たちがよく耳にする金融機関との違い、そして気になる株式事情について、その構造を紐解いていきます。

運営会社グッゲンハイム・マネジメントの正体

グッゲンハイム・パートナーズとグッゲンハイム・ベースボール・マネジメント(GBM)の違いを解説した図解。GBMが球団買収のために組成された投資家グループであることを示す。

まず最初に押さえておきたいのは、ドジャースのオーナーは「グッゲンハイム・パートナーズ」という会社そのものではない、という点です。

ここが非常にややこしいのですが、正確には「グッゲンハイム・ベースボール・マネジメント(Guggenheim Baseball Management、以下GBM)」という、球団買収のために特別に作られた組織がオーナー権を持っています。

このGBMを主導しているのが、金融大手グッゲンハイム・パートナーズのCEOであるマーク・ウォルター氏です。

彼は、自社の顧客やパートナーの資産を集結させ、2012年に当時のスポーツ史上最高額となる約21億5000万ドル(当時のレートで約1700億円)でドジャースを買収しました。

この買収劇は、前オーナーであるフランク・マコート氏の経営破綻に伴う競売プロセスで勝ち取ったものであり、NFLラムズのオーナーであるスタン・クロエンケ氏や、ヘッジファンドの帝王スティーブ・コーエン氏といった強力なライバルたちを退けての勝利でした。

つまり、GBMは金融のプロたちが集まった「投資家コンソーシアム(連合)」であり、そのバックボーンに約3,250億ドル(約47兆円)もの資産を運用するグッゲンハイム・パートナーズの信用力とノウハウがある、という構図です。

ドジャース(GBM)のバックボーンにあるグッゲンハイム・パートナーズの総運用資産額が約47兆円であることを示すインフォグラフィック。

この圧倒的な資金調達能力こそが、MLBの贅沢税(ラグジュアリータックス)を恐れずにスター選手を獲得し続けられる最大の理由と言えます。

彼らにとってドジャースは単なる球団ではなく、長期的に価値を高めていくべき「優良資産」なのです。

筆頭オーナーであるマーク・ウォルターの資産額

では、このグループを率いる筆頭オーナー、マーク・ウォルター氏個人はどれほどの資産を持っているのでしょうか。

彼は単なる「雇われ社長」ではなく、彼自身も莫大な資産を持つビリオネアです。

フォーブス誌などの推計によると、その個人資産額は日本円にして約1.8兆円規模とも言われています。

ウォルター氏の凄さは、単にお金を持っていることだけではありません。

彼は「金融の魔術師」とも呼べる手腕を持っており、大谷翔平選手の契約で見られた「10年総額7億ドルのうち、97%(6億8000万ドル)を後払いにする」というスキームも、彼の財務戦略があってこそ成立したものです。

通常の経営者であれば、将来に残る巨額の負債を恐れるところですが、ウォルター氏は手元の現金を運用に回し、インフレ率や金利を計算に入れた上で、将来の支払いに備えつつ利益を生み出すプランを描いています。

また、彼の視線は野球だけに留まりません。

英国プレミアリーグのチェルシーFCの共同オーナーを務めたり、女子バスケットボール(WNBA)のロサンゼルス・スパークスや、新設されたプロ女子ホッケーリーグ(PWHL)への投資も行ったりと、スポーツ資産を多角的に保有するポートフォリオ戦略を展開しています。

この投資家としての冷徹かつ合理的な視点が、ドジャースを単なる野球チームから、巨大なビジネス・プラットフォームへと進化させているのです。

共同オーナーのマジック・ジョンソンの役割

マーク・ウォルター氏(カネ・頭脳)とマジック・ジョンソン氏(ヒト・心臓)の役割分担を示した図。地域社会との絆やエンターテインメント性を補完する関係性。

GBMのメンバーで最も知名度が高いのは、やはりNBAのレジェンド、マジック・ジョンソン氏でしょう。

彼は「共同オーナー」として名を連ねていますが、その役割は資金提供だけにとどまりません。

金融のプロばかりが集まるGBMにおいて、彼は極めて重要な「バランサー」としての機能を果たしています。

マジック氏は球団の「顔」として、ロサンゼルス地域社会との結びつきを強める重要な役割を担っています。

前オーナー時代、ドジャースは経営難による治安悪化やファンサービスの低下により、地元からの信頼が崩壊しかけていました。

そんな中、ロサンゼルスの英雄であるマジック氏が経営に参画したことは、ファンに「ドジャースは変わるんだ」という強いメッセージを与えることになりました。

また、彼はエンターテインメント業界にも精通しており、ファンを楽しませるスタジアム作りや広報活動において、金融畑のウォルター氏にはできない「心」の部分を埋める存在となっています。

さらに、テニス界の伝説であるビリー・ジーン・キング氏も後に共同オーナーに加わっており、多様性や社会的責任(CSR)を重視する現代のスポーツ経営において、彼らの存在はブランド価値を大きく高めています。

まさに、カネのウォルターと、ヒト・ブランドのマジックという最強のタッグが組まれているわけです。

ドジャースの株価や上場に関するよくある誤解

「ドジャースの株を買ってオーナー気分を味わいたい!」と考える熱心なファンの方もいるかもしれませんが、結論から言うと、残念ながらそれは不可能です。

「非上場企業」という大きな文字と、一般投資家がドジャースの株を買うことは不可能であるという結論を示したスライド。

ドジャースの親会社であるGBMは非上場企業(プライベート・カンパニー)であり、その株式は一般市場には出回っていません。

MLBの球団は、アトランタ・ブレーブス(Liberty Mediaから分社化して上場)のような極めて稀な例外を除き、ほとんどが非公開企業によって所有されています。

これは、経営の迅速な意思決定を可能にし、株主からの短期的な利益追求圧力にさらされずに、長期的なチーム強化に投資するためでもあります。

したがって、私たちが証券会社を通じてドジャースの経営権の一部を購入するルートは存在しません。

【注意】証券コード検索での誤解に気をつけて!

証券会社の検索ツールで「Guggenheim」と入力すると、「GOF (Guggenheim Strategic Opportunities Fund)」や「GPM (Guggenheim Enhanced Equity Income Fund)」といったティッカーシンボル(銘柄コード)が表示されることがあります。

これらはグッゲンハイム・インベストメンツが運用する「閉鎖型投資信託(CEF)」や「ETF(上場投資信託)」であり、ドジャースの経営権とは全く関係のない金融商品です。これらを購入しても、ドジャースのオーナーになれるわけではなく、球団の収益が配当として還元されるわけでもないので注意してください。

証券ツールで検索されるGOF、GPMなどの投資信託はドジャースの経営権とは無関係であることを示す「NO!」マーク付きの図解。

検索で出るグッゲンハイム投信と球団の関係

インターネットで検索すると「グッゲンハイム投信」といった言葉が出てくるため、混乱する方も多いと思います。

ここで改めて整理しておきましょう。

グッゲンハイム・パートナーズは巨大な資産運用会社であり、その事業の一部として一般投資家向けの投資信託やETFを扱っています。

一方で、ドジャースを保有しているのは、そのCEOであるマーク・ウォルター氏が中心となって個別に立ち上げたGBMという別組織です。

もちろん、親元のグッゲンハイム・パートナーズのブランド力や金融ネットワークは球団経営にフル活用されていますが、「投資信託を買うこと」と「球団を応援すること」は、資金の流れとしては完全に別物です。

ただし、面白い動きもあります。

2025年3月に東京ドームで開催されるMLB開幕戦(東京シリーズ)において、グッゲンハイム・パートナーズが冠スポンサーを務めることが決定しました。

これは、普段はBtoB(対企業)の金融ビジネスを主戦場とする彼らが、大谷選手の母国である日本の投資家に向けてブランドをアピールする絶好の機会と捉えている証拠です。

このように、直接的に株を買うことはできなくても、ドジャースの活躍がグッゲンハイムという金融ブランドの価値を高め、巡り巡って彼らの金融ビジネスにプラスの影響を与えるという相乗効果は確実に存在しています。

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ドジャースのオーナー企業による経営戦略と土地問題

圧倒的な資金力で常勝軍団を作り上げたオーナー企業ですが、すべてが順風満帆というわけではありません。

特にスタジアム周辺の土地に関しては、前オーナーの影が色濃く残り、開発計画が思うように進まないというジレンマを抱えています。

ここでは、その収益のカラクリと、知られざる土地問題について解説します。

巨額のテレビ放映権料が生む圧倒的な収益構造

テレビ画面から大量のお金が流れ出るイラスト。ドジャースの最大の収入源がチケット代ではなくテレビ放映権料であることを表現。

ドジャースがなぜこれほどまでにお金持ちなのか。

その最大の収入源は、チケット代やグッズ売上ではなく、桁外れの「テレビ放映権料」にあります。

ここにもGBMの巧みな交渉術が見て取れます。

2013年、GBMはタイム・ワーナー・ケーブル(現Spectrum)との間で、25年間・総額83億5000万ドル(約1兆2500億円)という天文学的な放映権契約を締結しました。

これを年換算すると、ドジャースは年間平均約3億3400万ドル(約500億円以上)もの放映権収入を得ている計算になります。

データサイト「FanGraphs」などの分析によると、この金額はMLB他球団と比較しても断トツの1位であり、2位のチームにすら年間1億ドル(約150億円)以上の差をつけています。

ドジャースとMLB他球団の平均放映権収入を比較した棒グラフ。ドジャースが年間約500億円で突出していることを示す。

この莫大な「固定給」が、試合の勝敗に関わらず毎年確実に入ってくるため、観客動員が多少変動したり、一時的な不況が訪れたりしても、チームの総年俸を高く維持することができるのです。

この盤石な収益基盤こそが、GBMが構築した最強のビジネスモデルであり、他のオーナーたちが羨む「打ち出の小槌」と言えるでしょう。

大谷翔平効果で急増した日本企業のスポンサー

さらに近年、この収益構造に「日本マネー」という新たな強力エンジンが加わりました。

大谷翔平選手や山本由伸選手の加入以降、ドジャースと契約する日本企業は急増し、2025年シーズン時点では20社以上にも上ると報じられています。

東京エレクトロン、ANA、ダイソーなどの日本企業ロゴと、新たな収益エンジンとしての「ジャパンマネー」についての解説スライド。
企業名主な掲出場所・内容と戦略
東京エレクトロン (TEL)バックネット裏、外野フェンスへのロゴ掲出。
BtoB企業の認知拡大を狙った戦略的パートナーシップ。
伊藤園 (お~いお茶)グローバルアンバサダー契約に加え、公式パートナー契約も締結。
スタジアム内での製品提供や、世界的なお茶文化の浸透を目指す。
ANA (全日本空輸)オフィシャルエアラインとしての協賛。
日米間の移動需要を取り込むためのプロモーションを展開。
ダイソー (DAISO)バックネット裏の回転式看板でおなじみ。
米国での店舗展開を加速させるためのブランド浸透策。
興和 (バンテリン)外野フェンス等でのブランド掲出。
スポーツと親和性の高い製品をアピール。
ミズノオフィシャルベースボールパートナー。
用具提供や商品開発での協力関係を強化。
THK機械要素部品メーカー。
産業用機械の分野でのグローバル認知度向上。

※2025年シーズンの主なパートナー企業例および報道ベースの情報

これらの企業にとって、ドジャースタジアムは単なる広告の場ではなく、北米市場へ進出するための「実験場(インキュベーター)」としての意味合いも強くなっています。

例えば、スタジアム内で新製品のサンプリングを行って米国の消費者の反応を見たり、ドジャースブランドを活用したコラボ商品を展開したりと、その活用法は多岐にわたります。

オーナー側もこの需要を逃さず、日本企業向けの特別なパートナーシップ枠やホスピタリティパッケージを拡充することで、さらなる収益拡大に成功しています。

前オーナーのマコート氏が握る駐車場の権利

ドジャースタジアムを囲む広大な駐車場と大きな疑問符(?マーク)。開発が進まない現状を示唆する画像。

さて、ここからが少しドロドロした、しかし非常に重要な話になります。

ドジャースタジアムに行ったことがある方は、「なぜ球場の周りはあんなに広大な駐車場のままなんだろう?」「なぜエンゼルスのように周辺にお店やホテルを作らないのか?」と疑問に思ったことはありませんか?

実はあの駐車場の土地、現オーナーのGBMが完全に所有しているわけではないのです。

2012年の買収時、交渉は非常にタフなものでした。

前オーナーのフランク・マコート氏は、球団本体の売却には合意したものの、スタジアムを取り囲む約260エーカーの駐車場用地の所有権を完全には手放しませんでした

 最終的に、GBMとマコート氏がそれぞれ50%の権益を持つ「合弁事業(Joint Venture)」として土地を保有するという、極めて異例の契約が結ばれました。

その結果、ドジャース(GBM)は自分たちのホームグラウンドで試合をするたびに、マコート氏との合弁会社に対して年間約1,400万ドル(約20億円)もの賃料を支払う構造になっています。

前オーナーのフランク・マコート氏とGBMの権利関係を示す図。駐車場用地の権利の50%を前オーナーが保持している「見えざる足枷」の解説。

つまり、私たちがスタジアムで高い駐車場代を払うと、その利益の一部は今でも前オーナーの懐に入っているわけです。

この複雑な権利関係がネックとなり、GBM単独ではスタジアム周辺の大規模な再開発(商業施設やホテルの建設など)に踏み切れない状況が続いています。

スタジアムへのゴンドラ計画と開発の課題

この土地問題を解決し、さらなる収益化とアクセス改善を目指す動きとして持ち上がっているのが、ユニオン・ステーションとドジャースタジアムを空中で結ぶ「空中ゴンドラ計画(Los Angeles Aerial Rapid Transit, LA ART)」です。

ロサンゼルスのユニオン・ステーションからドジャースタジアムへ至る空中ゴンドラのルートマップ。

このプロジェクトは、試合日の激しい交通渋滞を緩和し、公共交通機関からのアクセスを劇的に改善することを目的としています。

しかし、この計画には裏の側面も指摘されています。

反対派の地元住民や団体(Stop the Gondola Coalitionなど)は、「このゴンドラは渋滞緩和のためではなく、将来的にマコート氏が駐車場用地を商業施設や住宅として開発するための足がかり(アクセスの確保)である」と主張しています。

実際、開発を進めるためには、既存の道路以外のアクセス手段が不可欠だからです。

2024年から2025年にかけて、この計画は法的な争点となりました。

一度は環境影響評価報告書(EIR)が承認されたものの、2025年5月にはカリフォルニア州控訴裁判所が「建設に伴う騒音対策が不十分である」などの理由で承認を取り消す判決を下しました。

その後、修正案が提出されていますが、ロサンゼルス市議会でも議論が紛糾するなど、政治的な綱引きが続いています。

ゴンドラ計画に対するオーナー側の主張(ファン体験向上)と反対派の主張(マコート氏の利権)が対立し、綱引きをしている図解。

オーナー企業としては、ファン体験を向上させ、資産価値を高めるために周辺開発を進めたいところですが、前オーナーの残留利権と地域社会の反対という、容易には解けない板挟み状態にあるのが現状です。

ドジャースのオーナー企業の全貌と今後の展望

ここまで見てきたように、ドジャースのオーナー企業「グッゲンハイム・ベースボール・マネジメント」は、単なる野球好きの集まりではありません。

彼らは金融の論理でチームを強化し、エンターテインメントの力でファンを魅了し、さらにはNBAレイカーズのオーナーシップの一部も取得するなど、ロサンゼルスのスポーツ界全体を支配する「巨大スポーツ産業複合体」を築こうとしています。

彼らの戦略は、ドジャース、レイカーズ、スパークスといった主要スポーツコンテンツを「地域ドミナント(支配)」し、メディア交渉力やスポンサー営業力を最大化することにあります。

私たちファンとしては、豊富な資金で大谷選手のようなスーパースターを集め、強いチームを見せてくれるのは嬉しい限りですが、その裏側には緻密な資本の計算と、まだ解決されていない土地の課題があることも知っておくと、試合観戦がより深みのあるものになるかもしれませんね。

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